かーずSPの戯れ言

かーずSP管理人が駄文を語ったりするブログ

「アニメや漫画なんて嘘の話じゃん、なんでそれで感動できるの?」と煽られた場合の対処法

※以下、『君の名は。』『響け!ユーフォニアム2』のネタバレがあります。


いやー昨日のNHK クローズアップ現代+君の名は。』特集、面白かったですね。
特に興味深かったのが、40代以上の年配者53人に『君の名は。』を見せて、感想を聞くというコーナー。
その多くが、「自分の大切な出会いや別れを思い出して、泣いた」と説いた。番組では、それを劇中の言葉とかけて「ムスビ」が大ヒットの要因の一つと結論づけてます。

想定外!?「君の名は。」メガヒットの謎 - NHK クローズアップ現代+、ここに番組の内容が文章で書かれています。 「なるほど、そういう感動の仕方もあるのか」と感心した一方、僕はこの映画で涙したのは、まったく違う理由です。
瀧あるいは三葉と同じ体験をして、会いたくても会えない人と巡り会えた喜びに心を動かされたのです。
この時、僕は瀧であり、三葉だった。決して自分の過去の出会いや別れの体験を思い出したりはしませんでした。

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別にNHKの結論に文句言ってるわけじゃなくて、自分は作中のキャラに感情移入して泣くタイプなんだろうと。というか、「自分の体験を重ねて泣くという人もいるのか!」と驚いたんですね、それは良い収穫でした。


そこで思い出すのが昔とある人に言われた疑問。

「アニメや漫画なんて、作者の都合のいいように死ななかったり、くっついたりして、さじ加減一つですげー冷めるんだけど、なんでそんなに感動できるの?」

「オッ!お前世の中すべてのオタクに喧嘩売ってんのか、シュッシュッ!!」とも思ったんですが、当時は「お前がそう思うんならそうなんだろう お前ん中ではな」でスルーした気がします(この名言が生まれるずっと前の話だけど)

彼が言うには、例えばスポーツ選手が子供の頃から努力して金メダルを獲るのは感動する、それは本当に起こった話だから。
でも「漫画とか嘘じゃん、作者のさじ加減一つで助かったり優勝したり思い通りじゃん」ってことらしいです。

じゃあドラマや映画好きな同級の女の子にもそれ言えよとも思ったんですが(笑)、アニメや漫画って「絵」なので、なおさら作り物っぽく見えるのでしょう。


昨日のNHKを見た後に「感動ってなんだろう」と考えた結果、遠い過去に投げられたこの質問の答えがようやく見つかったので、僕の20年越しの答えをここに書いておきます。

感動(かんどう)とは - ある物事に深い感銘を受けて強く心を動かされること。

君の名は。』で僕が感動したのは、会いたくても会えなかった人と、ようやく出会えた喜び。また、三葉が三年前の瀧と出会った時、なにも伝えられずに組紐だけ渡して別れてしまった記憶は、三葉がどんな気持ちで東京まで来て探し回ったのか、その切羽詰まった感情を100%自分も(疑似)体験してるからそこの涙

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それが美麗な映像表現や、美しいRADWIMPSの曲で感情が増幅されたのだと自己分析しました。

   もう一つ最近感動したアニメに『響け!ユーフォニアム2』があります。4話で鎧塚みぞれが、疎遠になった親友・希美との唯一の繋がりだけが吹奏楽部を続ける理由になっていると語った事に、吉川優子は激怒します。

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優子「そしたら何!? みぞれにとってわたしは何なの!?」
みぞれ「…同情、してくれたから」(要約)
優子「バカ!あんたマジでバカじゃないの!みぞれはわたしのこと友達を思ってなかったわけ!?」

優子「いいに決まってるじゃん、だから、笑って」


本気になって友達のために怒る優子の話は前に吉川優子が可愛すぎて、死にそうなほど惚れ込んでいる件で書いたんですが、優子のみぞれに対する、打算も裏もない、真っさらな純度100%の友情は僕の価値観では至上の尊さがあって、セリフを書き写してる時もポタポタ泣いてました。


感動とは、心を動かされること。

君の名は。』の運命の相手との結びつきや、『ユーフォ2』の友情も、久美子が悔し泣きするほど真剣に打ち込む姿も、自分が一生をかけて、生きていきながら追い求めている理想なんです
それは生き方だったり、心の有り様でもあるので、実際に「俺の運命の相手は三葉たんハァハァ」っていう狭い意味じゃなくて(そういう萌え豚魂も全開にあるんですが(笑))、これらの物語は、わたしが生きていく上での目指すべき「頂き」「理想」「指針、方針」「道標」に触れる。

そういう心に訴えかけるものを、作品は「物語」「映像」「音楽」などを通して伝えてくれる、そこに心を動かされるのだ。

なので「アニメや漫画なんて作り物の話で感動できるの?」と質問された時の答えは

「嘘の話に感動してるんじゃない。
自分の『理想』がその感動する物語にはあって、それに触れることで心を動かされるのだ」


と答えます。これが長年僕の喉につっかえていた疑問への答え。あーすっきり!

■補論
「感動」と間違いやすい言葉に「もらい泣き」があります。

もらいなき【貰い泣き】の意味 - 他人の泣くのに誘われて自分も一緒に泣くこと。

これ、泣きゲーがブームだった時にエロゲカウントダウンっていう個人のレビューサイトが「感動ともらい泣きを一緒にしてはいけない」と言っていて、これは名言だと思うんですが、似て非なるものなんです。
人が死んだ時に流す涙は「もらい泣き」のことも多くて、『Kanon』『ONE』『AIR』あるいは『加奈』など名作泣きゲーは、可愛い女の子が死んだり消えたりするから悲しいのか(例:栞が死んだ時、大泣きする祐一につられてプレイヤーももらい泣き)、死別しても、永遠に分かれても続く愛に感動したのか、ごっちゃになりがちなんですね。
これらの泣きゲー人によってはもらい泣き、人によっては感動、両方で泣いてる事もあって、泣いてる本人でも区別がついてないケースが多いと思う。
「いや~感動した」って時に、それはもらい泣きなのか、感動なのかを後からでも冷静に分析してみると面白いかもしれません。

今季のアニメもオープニング映像が気持ち良い件+α

今季のアニメもオープニング映像が気持ち良い件+α

アニメのオープニングって、ハイテンポな曲に合わせて映像がシンクロして、それを見るのが快楽ってのがあります。
で、この秋も「これいいわー」と繰り返しHDDレコーダーの寿命を縮めながら繰り返し見てる映像をご紹介。

ユーリ!!! on ICE(音出ます)」第一話のOPを見た時、何が起こってるか理解不能でした!
寸分狂わぬシンクロで踊りつづける勇利くんたち。
「え?アニメってこんなに動くもんなの?」という驚きしかなく、「これはなにかすごい事件が起こっている!」と本能で実感。
その後、本編で勇利が一曲フルでアイススケートをするに至って、それが間違ってなかったことを理解しました(初見では口をポカーンと開けて見入ってしまった)
おそらく後世の歴史に名を残すであろうアニメですよね。その伝説のスタートがこれでした。

ガーリッシュ ナンバーのオープニング.あえて色を減らして原色を印象的に使っていて、ポップな雰囲気が曲調と合っているんですが、オススメポイントはサビ!!
単色の声優が、一人づつ演技していくたびに色がついていく。それも口元から円状に、音の広がりを視覚的に表現しているのが見ていて気持ちいい~~っ!
仕草も一人ひとり個性があって、万葉のかっこいい振り付けが痺れるわー!
ちなみにそのあと、5人が指を合わせて星型を作るんですが、「万葉お前そんなキャラちゃうやろ!」と京みたいにツッコミましたが、先週と今週の放映で万葉が一皮むけた感じになって、ちょっと性格も丸くなったので、このオープニングもなおさら僕の中で価値がアップしました。

アニメのオープニングとしては王道の作りをしている「フリップフラッパーズ」なんですが、王道ゆえの気持ちよさが詰まってるんですよ。
最初は不穏な映像で「何だこれ?」と思わせて、土管でうつむくココナとか、暗いな~と思わせておいて、サビで一気に大爆発!
ミサイル、光、意味不明な生物、ととにかく説明する気がまったくない!
まったくないが、「ピュアイリュージョン」というなんでもありの世界を全身で表現している。
でも最後はパピカとココナが笑いながら草原を走っているんで、なんとなく終わりよければすべて良し。置いてきぼりの挙句に、丸め込まれている感じも、なんだかいい意味で「やられたなぁ、じゃあ見てやるか」って気持ちにさせられる(←どんだけ上から目線)。

例外1
毎週楽しく見ている装神少女まといなんですが、ロリな巫女さんの草薙ゆまがついに変身できるようになるんです。そこまではいいんですが、その翌週、オープニングを乗っ取るという暴挙に出たのがこの動画の後半部分。
しかもこの『装神少女ゆまちん』の作りが、顔を切り貼りしたように上から被せるだけっていうね………もう、雑!
最後の、まといのツッコミまで含めて大笑いしました。
ゆまちんはとにかくポジティブ全開で、どんなピンチになってもおバカさんなんですが、それが作品の明るさにもなっているムードメーカーで、こういうお遊びは最高!

例外2
オープニングも好きなんですが、注目すべきはこちら。
オーケストラをまるまる一曲映像化してるんですが、なんとこれ、出してる楽器の音と指がちゃんと同期してるんですよ!

「当たり前だろバカ」って思われるでしょうけど、アニメというのは現実で簡単なことほど実現するのが難しい(人が歩いてる時の脚の動きとか)と言われてます。
なのに、それを複雑な楽器演奏で運指をすべて描写するとか、あ、ありえねぇ~~~っ!!

さらに良いのは、演奏と物語が合致してるところで、例えば鎧塚みぞれが心を開いて希美と和解したことで演奏に艶が出てて、みぞれのソロパートの情感豊かな演奏(この動画で4分30秒くらいのところ)は、素人の僕ですら「良くなった」と気づいた。それから裏の希美へのカメラ移動もいい。
また、久美子が一期で「上手くなりたい!」って橋の上で悔し泣きしていた、弾けなかった難しいパートが弾けるようになって、それを演奏で成功させる(5分17秒あたり)と、滝先生の口元が若干ニヤリ。秀一とあすか先輩も視線だけで、「久美子やったな!」感を出していて、今までのドラマがこの演奏シーンに詰め込まれている。
あと泣けるのは、モブの子たちが楽譜に合宿の写真(コーチとピースしながら撮ったりしてる。この動画だと4分18秒から)を貼り付けてます。
彼女たちにとっては「練習キツかったけど楽しかった合宿の思い出」くらいの気持ちなんでしょうけど、僕ら見ている大人にとっては、それはかけがえのない青春の、一生の宝物だと知ってるわけです。だけど彼女たちはそれを知らないまま、今の一瞬にすべてをかけて演奏している、その刹那の輝きに涙します。

例外3
注意:映像内に『君の名は。』ネタバレあり
今期アニメというか夏の終わりに公開された劇場用アニメなんですが、曲と映像の同期というと、この特別に編集されたMusic Videoは珠玉の予告編なので外せない。
「砂時計」「教室」「電車」などの歌詞に合わせた映像運びもうまいんですが、1分40秒あたりの、へその緒や髪にハサミを入れる、ところからサビまで全部、映画館で大泣きしていたシーンのダイジェストなもんで涙腺決壊、名シーンだらけだね。

『君の名は。』二回目観てきた(ネタバレあり)

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君の名は。』二回目観てきた(ネタバレあり)

はぁーーーーっ、もう最高しかないんですけど。

という今世紀最大級のアニメなんですが、一回目は、目まぐるしく変わるストーリーと映像美に圧倒され続けて、気づけば終わっていたというジェットコースター感覚だったので、今回は、小説の外伝『君の名は。 Another Side:Earthbound

新海誠監督の過去作品を、エロゲのOPから大成建設のCMまで含めて全部見てから挑んだので、一回目は驚きだとすると、二回目は答え合わせって感覚で見ようと決めてました。

まあ、また圧倒されたんですが。(我ながらチョロイン)

冒頭の三葉と四葉の舞いで、上から流れるように下ろしていく仕草が1200年前(あるいは二度目の彗星落下の予言)の彗星を示しているのとか、気づいた瞬間、うわあーって声出しそうになりましたよ。

それにしても映画館って、笑えるシーンでも声出しちゃ駄目ってルール辛いんですけど。瀧の入った三葉が泣きながらおっぱい揉むシーン、大笑いしたいんですけど。
あ、あとバスケシーンのノーブラも今度はちゃんとチェックしましたよ! 初見のときは、三葉が運動神経良くてシュートを決めたから男子達がガン見してるんだと思ってたんですがノーブラがバレてたとか。

エロさといえば、奥寺先輩が寝てる時に黒いブラしてるのとか、自転車こぎでパンチラとか、意外とサービスシーンが散りばめられているのね。奥寺先輩という年上の憧れ的存在といえば『言の葉の庭』の雪野先生(notユキちゃん先生)なんですが、部屋で二人きりになって「先生のこと、好きかもしれない」っていうあの空間が「エロ」じゃなくて「官能的」だと感じたんですね。セクシーとも違うかな。

で、奥寺先輩と司にもそれっぽい艶やかさを感じてて、なんか旅行中二人ずっと仲良しだし、モノローグだけで、「奥寺先輩と司は喧嘩したのか別々に東京へ戻った」って結果だけ説明してるけど、「二人に何があったんだー!!」って悶々と気になってしょうがない。 あ、同人作家の皆さん!冬コミにするならここの行間ですよ! 奥寺先輩のエロエロな同人誌を以下略

追記:これTwitterで教えてもらったんですけど、記憶を失った瀧くんが、一人で帰宅した理由を覚えてないから、司・奥寺先輩と自分が喧嘩したのかなってあいまいに間違ってるってことなんですね。

ってことは、奥寺先輩の指輪の相手って司なん? 奥寺先輩が地方ってことは遠距離恋愛だとか?とか別の疑問が浮かんでくる。



にしても新海誠作品に共通するのは、観終わった後の自己不全感、喪失感が強烈に襲ってくるんですけど、どうしましょうこれ。
ふだん僕らが過ごしてきて、なんとなく何かが欠けている感じ、物足りない感じ、本当のわたしはこうじゃない感というんでしょうか、思春期の頃の万能感の裏返しなんですが、そういうロストした気分が余韻として残るのは切ない。

人間ってのは年齢を重ねると、感受性が鈍くなってくるので、生きていてそういう息苦しさは減っていくんだけど、優れた青春ドラマというのは、その古傷をえぐってくる、もう一度、自分について考えさせられるんですね。
自分が生まれてきた意味はなんなのか、今、何をなすべきなのか、とか悶々と哲学の領域になってくる。

我ながら、ずいぶんとめんどくさいもんを大好きになっちゃったなあと苦笑いしつつ、また次も映画館に行こうと思ってます。

「仕事で手を抜いても、その場ではなんとかなっても長続きしない」という製麺業的な一考察

今から書くお店は僕の作り話、ということにしておいてください。

自分の仕事は小麦粉を練ってラーメンの麺を打って、それを中華料理屋やラーメン屋に卸す仕事をしているんですが、あるお店が自由人の自由なお店でした。
マスターがスキーやパチンコしたいときは休んだりする不定期な営業形態で、一種類のとんこつ系ラーメンとつけ麺だけ出してたお店。

最初はすごく麺も出てたんですが、だんだん売上が落ちていって、ある時近所にラーメン屋ができると、そこにごっそり客を奪われたのか、最後の方は支払いも滞りまくって、閉店してしまったことがあった(という作り話)

最初は、休みたいときは休んで、お金がなくなってきたら働くというのはフリーターっぽいというか、そんな自由な生き方があるのかと感心すらしたんですが、まあ長続きしなかったんですね。外から見ると、色々と反省点は見えていて、

・最初の人気が上がって食べログで高得点の時に、従業員の拡張、教育や新しいメニューの開発など投資をしておくべきだった。

そんなに遊びたいなら、従業員を雇って教育すればマスターの休みも増えただろうし、近くに一軒のラーメン屋ができただけで客が取られる一種類のラーメンだけというのは、あまりにも対策しなさすぎだった(つけ麺はほとんど出てなかった)その資金もパチンコに消えてたかと思うともったいないなあと。まあ、客も食べに行ったらお店が閉まってた、それが数回続けば客足も遠ざかるのは当然で、信頼を失うのは自明。

まあ、二郎系のように一種類だけって戦い方もあったとは思うけど、それだったらコストをギリギリまで削るとか、可愛くて若い店員を雇うとか方策は必要だったろう(若くて可愛い女店員というのは大事な要素で、それで裏路地にあるお店が大人気という実例を知ってます。5人くらい交代でいて、アイドルグループみたいになっとる)


それとともに、やっぱり仕事に楽な道なんてなくて、毎日コツコツと技術や実績、信頼を積み上げていくことこそが大事なんだなと学んだ次第。

イチローが、毎日同じように歯を磨いたり練習もレフトに30本ライトに30本決まっている事をずっと毎日繰り返してるというインタビューを読んだんですが、そういう正しい方向へ日々努力したものが報われるのが仕事の世界、なんではないだろうか。


なんでそれを思い出したかというと、『劇場版響け!ユーフォニアム』のスタッフコメンタリーで石原立也監督が、一期で麗奈と久美子が花火を見るために登った山には、10回以上取材に行っていて、「一人で夜行ったら目の前に手のひらヒラヒラされてもわからんくらい真っ暗で超怖かった」って話されていて、あの名シーンを作るために、そこまで苦心して生まれたのがあの回だったのか、職人だなあと感動したので、「やっぱり仕事で手を抜いても、その場ではなんとかなっても長続きしないよね」ってことを今は亡きお店で思い出したので徒然なるままに書いてみた(フィクションですが)