かーずSPの戯れ言

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沈没船にお宝は眠っているのか?

沈没船にお宝は眠っているのか?
という話を、「伊集院光とらじおと」のゲストである水中考古学者の山舩晃太郎さんが話されていて興味深かった。
よくアニメや漫画に出てくる、沈没船に沈んだ財宝を見つける冒険ロマン。
沈没船というと、僕らは宝箱から、金銀財宝が溢れ出ている。あのイメージが強い。
はたしてこれは、真実なのかというと……限りなく、その可能性は低いという結論だった。その理由が面白い。

中世以前、唯一海を越えて移動できる交通手段が船だった。
つまり、現代でいうところの車に該当する。
だから沈没船は、今の感覚だと自動車事故と同じ海難事故だという。
じゃあ交通事故に遭ったトラックに、大量の金品が積んであるかというと……まあ、普通の荷物が積んであるだけだよねって話。
伊集院光「俺の頼んだAmazonが積んであるだけですね」

世界に沈んでいる沈没船は、少なく見積もっても300万隻以上は眠っていると言われている。
ただ、財宝が積んであるケースもゼロではない。だけど現代になぞらえるなら現金輸送車が交通事故に遭うようなもの。確率はかなり低いということが感覚的に理解できる。
しかし、ゼロではないですよね。
ところがその場合は、「あそこに金が埋まってるんだぜ」と地元の漁師が取りに行くんで、どっちにしても財宝が残っていることはない。

にもかかわらず、沈没船には財宝がある、宝箱の口が開いて、そこから金がこぼれ出してるイメージは根強い。僕も、このラジオを聴く前まではずっとそのイメージを持っていた。「ルパン三世」とかでね。
実際に、何年かに一回、時価●●億円の財宝が見つかったというニュースが、いまだに流れ続けるのも事実。
なぜなのか。

実は、盗掘者(トレジャーハンター)が投資詐欺のために情報を流しているんだそうだ。
山舩晃太郎先生は語る
「沈没船から100億のお宝が見つかった……ただ、引き上げるためには10億円、必要なんですよ。だから出資してくれれば、100億円にしてお返します」
しかし「実際には許可が取れませんでした」と相手に説明して終了。
伊集院「うぉー、そのケースもあるんだ!」
山舩「そのケースしかないです」
なので財宝のイメージというのは、映画や投資詐欺のせいであり、幻想でしかない。

その詐欺に説得力をもたせる手法も唸る。
Amazonの運転手がお財布を持っているように、沈没船にも多少の金目の物品はある。
例えば古代の硬貨を見せて「これは一部です。これがたくさん埋まってます」と説得力をもたせる。そこから見つけてきた硬貨も、ウソではないという仕掛け。

当たり前のように抱えているイメージを、疑ってかからないといけないんだなと。
自分にとって都合のいい話は、誰かの恣意的な情報操作かもしれない。
という風に常に疑う心が大事だとは思うが、それだけだと陰謀論にも陥ってしまう危険性がある
じゃあどうするか。
教養を身につけるしかない、ということなのだろう。
物事を近視眼的に見るのではなく、知識と教養を身につけて、俯瞰して観察する視点が大事。

この山舩晃太郎先生の著書を速攻でポチった。
今回の件を知ったことで、沈没船に限らず、徳川の埋蔵金アイヌの金塊、旧陸軍の財宝といった投資詐欺に引っかかることはなくなるだろう。
まあ、糸井重里埋蔵金番組は面白く見ていたし、「ゴールデンカムイ」が傑作名作であることには変わりない。
関連:徳川埋蔵金を探し続けた糸井重里というコピーライター - アナブレ
であればこそ、フィクションを楽しむ心と、現実にあるモノをごっちゃにしてはならないんだろうなと。
水中考古学、実に興味深い学問だ。
木曜日まで視聴可能です
radiko.jp