ファイナンス理論の入門書『あれか、これか』(野口 真人)を読んで、世の中の景色が一変した件
あれか、これか野口 真人 (著)
とかく難解な「ファイナンス理論」。巷に溢れるファイナンスの本は入門編と言いつつ2冊手にとったんですが、正直、さっぱりわかりませんでした(僕の頭のデキがよろしくないだけだろというツッコミには、ゴメンというしかないっす)
そんな自分にもわかりやすく説明している「あれか、これか」野口 真人 (著)
本書は僕らの生活に密接したものを喩えているので、中学生以上であれば理解できる噛み砕き方をしている。
・コンビニBでは350円
この場合のお得な買い物は?(答え)ビールを飲まない人なら「買わない」し、このビールが普段から300円で売られている商品ならば、どちらで買っても損ということになる。
なんだその詐欺みたいな答えww
……とワタシも思っていた時期がありました。
大半の人間は、価格同士の比較が価値基準になっているが、これでは正しい判断はできないと語る。
「値段にダマされない人が、すべてを手に入れる」
そのモノの本当の価値がわかれば、買い時なのか、割高なのかわかる。つまり、
「価格と価格」ではなく、「価格と価値」を比較することが重要である。というのが序章。
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「えー?そんなことができるの?」
それを実践するのがファイナンス理論で、「別に株や金融なんか関係ないし~」って人も多いと思いますが、世の中はお金を稼ぎ、使って生きていくシステムなので、これを知ってるのと知らないのとでは、先ほどのビールのように気付かずに損してる事が多々あるというのが衝撃的だった。
「銀座で飲むコーヒーが高いのはなぜ?」という疑問からPBRへの解説へ。
→これも面白い考察だった。「地価が高いからコーヒー代も高い」と思う人が大半だが、因果が逆。
「銀座では高いコーヒーでも売れるから」
なにその屁理屈? みたいに思っても、その後、なぜそうなるのかを丁寧に解説してくれると、目の前の景色が違って見えるから不思議だ
また、「査定額800億円と評されたモナリザの絵画、実際の価値はいくら?」という喩えからは、キャッシュ・フローの考え方が学べる。
さらに、
「どれだけ節約しても、あなたの価値は増えない」「『ぜんぶ貯金』が、いちばん損をする」「60歳の1000万円は、20歳の22万円」(未来にある現金ほど価値が下がっていく)など、今までの生活の常識が一変してしまうファイナンス理論。
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「正しいリスクの考え方こそが、人生を好転させる」という本書は、今の時代を生きていくには必要なお金の知識が、わかりやすく載っている。
最後の〆にも良いことが書いてある。
この世で最も稼ぐ力を持っている資産は、「モノ」でも「カネ」でもなく、「ヒト」。
だからあなたの人生の価値を高めたければ、やはりまずはあなた自身を価値の源泉にするしかないのです。
これが綺麗事ではなく、数学として証明されているのがファイナンス理論。
ラストの「ボラティリティがある程度高い人生のほうが楽しめる」という体験談に至るまで、頭の先から尻尾まで学べた名著だった。