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さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ 永田カビ (著)

さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ 永田カビ (著)



去年話題になっていたこちら、『このマンガがすごい!2017オンナ編』で第3位という高評価の衝撃作。

「レズ風俗」というパワーワードに印象を持っていかれる感じだけど、語られているのは、孤独感とか、居場所がないとか、精神的にキツイ思いをしている一人の女性の、生きづらい世渡りの壮絶なノンフィクションになっている。

拒食症で身体の傷が全然癒えなくて、ヒーターに当たるだけで火傷したり、過食症でバイトの休憩時間にカップ麺を生のまま齧るほど飢えていて、スープの粉を振りかけても隙間からこぼれ落ちるので味がしないエピソードまで。もうその筋の人しか体験できない、生々しい実例がバンバン出てくる。

特に感じるのは、親から認められたい、親のご機嫌を取りたいという強迫性障害の苦しみ。でもそこから開放されたいために、いきなりレズ風俗を体験するという、一足どころか、何足も飛びまくってるよそれ!!

「自分で自分を大切にしてない、自分の気持ちをわかるようになりたい」という気づきによって永田カビ先生はレズ風俗を体験するんですが、風俗のお姉さんに心を開けなかったという後悔はあるものの、覚醒したように漫画家として前向きに前進していく、爽やかな〆は希望を感じさせる。



永田カビ先生の心の病は、エロへの抑圧、性欲を否認し続けたことで、心のバランスが崩れていたのかなと感じる。なので「ハグされたい」願望の突出した執着に繋がって、母性(女性)に抱きしめられたいって気持ちに転化され、その延長線上にレズ風俗があったわけだ。

精神障害の話は、なかなかに読む側もエネルギーが消費されて、引きづられるとダウナーな気分になってしまう。

無論それが悪いわけではなく、永田カビ先生がここまであけすけに心情を吐露して訴えてくる切実な心の叫びが、読むと一生忘れられない作品に仕上がっている。

永田カビ 12/10『一人交換日記』(@gogatsubyyyo)さん | Twitter

「永田カビ」のプロフィール [pixiv]

「漫画家としてしか、生きていけない」永田カビさんインタビュー - pixivision