かーずSPの戯れ言

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アイドルラノベ『コズミックアライブ』が面白かった件

今日読んだ本:オーバーラップ文庫|コズミックアライブ
真子晃一 (著), 荻pote (イラスト)

読了。あー面白かった。一言で言うと、

実在するアイドルへのリスペクトが感じられる王道アイドルストーリー!

元々ライトノベルで「アイドル」ものは向かないって言われてきたそうなんです。
歌やダンスを活字で表現する難しさ、10代男子を主人公にしなきゃ駄目みたいな半縛り構造など。

でも本書に関してはその杞憂を見事にクリアしてました。
あまり言っちゃうと読む楽しみがなくなるので触りだけ言うと、「一度バンドを解散したアイドル嫌いの主人公が、惚れた女の子にアイドルのマネージャーとして関わっていく」感じが自然な流れで没入できました。

特にその惚れた相手・桜ノ宮羽純の可愛らしくも意外な一面が明らかになり、徐々に距離感が縮まっていく感覚が非常に心地よくて、それを「荻pote」先生のイラストがブーストかけてます、これは悶絶必須!



おそらく随所に感情移入できるポイントが用意されていて、例えば各所に出てくる架空のアイドルには元ネタがあります。
古くは「新田絵莉」、これは声優の新田恵海さんじゃなくておニャン子クラブの新田恵利がおそらく元ネタで、「ネーミング娘。」はモー娘。、無論「YYH148」がAKB48だったりと、読者が知っている実在するアイドルへの認識が、登場人物の抱えている気持ちとシンクロできるからなんでしょう。

アイドルという共通認識で、読者とキャラに同じ共通体験を持たせているわけ。これは感情移入しないわけがない。

アイドルだけじゃなくて、劇中で伝説のロックバンドとして出てくる『ダディ&マリー』は無論『JUDY AND MARY』で、一日だけの復活ライブで沸き立つ主人公の興奮ぶりは、実在する僕らで置き換えて超盛り上がれますよね! そういう点が見事。


もちろん羽純だけじゃなく、個性的な他の4人のメンバーや主人公の姉がまたパワフル姉さんで笑わせてくれるし、ぶっちゃけお話的には超青春してます!

それがクライマックスのカタルシスに繋がっていくのがね、実に良いっす!

で、読み終わって余韻に浸りながらコズミックアライブ特設サイトを見ると、

曲のミュージック・ビデオがあるじゃないっすか!

「えっ!? 作品の中で歌ってた曲、本当にあったの?」

いや~この仕掛けはアイドル作品ならではですね、ずるいわ~(笑)


あと余談ですが、個人的に共感したのが、CDに対する愛情が感じられたこと。

曲が配信で簡単に買える時代だからこそ、発売日にCDショップへ足を運んでジャケットを手に取り、買ってワクワクしながら帰宅する。こういうCD体験は、

たっちレディオ: 第184回 CDの販売戦略を巡るあれこれの回

このWebラジオで田淵智也さんが語っておられますので必聴。

自分も子供の頃に「うしろゆびさされ組」や中森明菜のCDをワクワクしながら待ちきれなくて電車の中でジャケット開封して歌詞カード読んじゃったりして、そんな記憶も蘇ってきて、まあなんというか『コズミックアライブ』超良かったよっていう満足レポートです!