朝日新書『夢の叶え方を知っていますか?』 森博嗣 (著) 感想
夢の叶え方を知っていますか? (朝日新書) 森博嗣 (著) 感想
『すべてがFになる』シリーズなど大ベストセラー作家である森博嗣先生のエッセイ・コラム。
これ、タイトル的に合っているとも、間違っているとも言えるっていう、まぎわらしい名付けになってます。
というのも「小説家になるための方法論」が書いてある……ように思えますよね、普通。
でも森博嗣先生にとっては小説を書くのは効率的にお金を稼ぐ手段として適していたからであって、自分の夢実現のための道具にしか過ぎないんですね。
これは作家の収支でも語っていて、あまりのドライっぷりに衝撃を受けたんですが。
しかし小説家だけじゃなくて、「クリエイターになりたい」「世界中を回りたい」「いい男と結婚したい」など人間が持つ夢。それら広い意味での夢の叶え方への指南書となっていて、これがまた奥深い内容となっている。
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まず、人それぞれ身体能力や頭脳、容姿など生まれつきの「向き不向き」があって、それによって出発点は異なる、とのことを自覚する。
そして夢がない人向けに、夢を見つける方法が書いてある。さいわい僕は「オタク趣味を一作でも多く楽しんでから死ぬ」という人生の大目標を掲げているので、それは不必要だったけど、そこの章も慧眼で、
楽しさの本質は、自分の中にあって、周囲に聞いても、過去にもない。自分の中で生まれて未来に向かって育っていくもの
だそうだ。
そうすると、「高級車に乗りたい」「セレブな暮らしがしたい」みたいな夢は、本当に自分の夢なのか?
「そういう受け身の夢は、外から与えられた価値観にしかすぎない、本当の夢じゃない」とばっさり、確かにそう思った。
森博嗣先生にとっての夢は、模型を庭園で走らせること。
その喜びのために生きているそうで、ほんの少し微笑ましい。
自由をつくる 自在に生きるでもあったように、他人からの価値観よりも、自分の内から湧き出るものを大事にしろっていう人生哲学は、なるほどと納得しました。
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>夢を見つけたら、設計図を作って、目標を意識しながら、必要ならば常に進路を修正していく。
例えば子供がプロ野球の選手になりたいって夢でも、大人になるとともに経験を積むことで視点変化が起こり、フロントに入って優勝を目指す、みたいな軌道修正も必要だということ。
さらにとにかくやる、コツコツと継続する。
自分にノルマを課し、だましだましで進めていく。するとやっただけ見返りがあると思えて、自己満足だけど、楽しめる。
森先生は終始、「夢」とは自己満足だと繰り返している。
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そして褒めるのは自分であって、他人からの賞賛、承認は「小粒な自分」になっていって、夢も小粒になってしまうと警鐘を鳴らす。
ネット時代の「イイね!」、そういう周囲からの支配をいかに断ち切るのかが夢を実現する鍵になると断言している。
「小説を書きたい、小説を仕事にしたい」じゃなくて、「小説家になって注目されたい」になっている人が多いそうで、そういう他人から評価されたい夢は、なれても二流止まりと手厳しい。
とにかく自分を高める。自分の評価眼を持つ、など、徹底的に自分を中心に置く考え方に感銘を受けた。
これは孤独の価値でもおっしゃってましたね。
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また、具体的な仕事術として応用できるアイディアもたくさん。
例えば、仕事をやりかけで終わらせる。すると、次の日はその続きからスタートできる。
一区切り終わらせてから翌日になると、取り掛かるまでエネルギーが必要になってくる、というのは今日から取り入れようと思ったやり方でした。
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私の総論として、心の置き所をどこにするのか、という意味ではすごく有意義な一冊でした。
私は昭和生まれで、親も周囲も古い考え方で育ってきたため、新しい考え方がなかなかできない融通がきかないところを自覚しつつも、変えられない自分を恥じてました。
例えば親の仕事を疑問なく受け継いだりとか、10年くらい前までは髪を染めてる人もちょっと抵抗あったくらいの頑固ジジィっぷり(まあ、僕が黒髪ロングキャラ好きってところもあるんですが←お前の好みかよ)
そういう古い考え方を捨てるために、去年からホリエモンや藤田晋など斬新な思考の著作を読むようにしていたんですが、この森博嗣先生もまた、そういう僕の凝り固まった先入観を壊してくれる先達でした。
さらに、僕の人生の目的である「オタク趣味を楽しむこと」についても、森博嗣先生は答えをくれていました。
集団の中の一員として生きる生き方を否定しないが、働いて税金を納めていれば、あとは自分の好きな生き方をする。
そんな自由さが可能になったのが現代なのだと言われて、オタクな自分には救われた感じです。
炭水化物を抜いたら足先が冷えた件
今日は本の紹介は無しにして、ちょっと気になることが。
健康のことで適当なことは書けないので事実だけ書くんですが、昨晩、ご飯を食べずにいただけで、今日はずっと足の冷え症になってしまいました。
今日は特に暖かい春一番だったのに!
私は去年、炭水化物抜きダイエットをしていたんですが、確かその時期もずっと足の冷えが、真夏なのに続いていました。
でも原因は特定できないまま、いつの間にか治っていたんですけど、そういえば夜にご飯をまた食べるようになってからは症状が起こっていないことに後から気づく始末。
ざっくりぐぐって出てきたのがこちらです。
【医師監修】過度な糖質制限は冷え性を悪化させる? | ヘルスケア大学
食べて冷えを治す①栄養不足は冷え症になる|管理栄養士コーゲヨーコの 「バランス喰楽部」
こちらは適正に炭水化物抜きをしていればならない派
糖質制限食を食べていると冷え性になるって本当? | 炭水化物.com
炭水化物抜きダイエットの是非ってまだ結論は出てないそうなんですけど、僕の場合は、ちゃんと夕食は納豆+生卵をご飯にかけて食べた方が翌日身体の異常はないかなと思いました。
『デンキ街の本屋さん 13』水あさと (著) 感想
『デンキ街の本屋さん 13』水あさと (著) 感想
TVアニメにもなった『デンキ街の本屋さん』、13巻目ともなると、食べたいものが出てくる定食料理屋のようで非常に落ち着くし、それでいて新たな驚きもあって、非常に満足しました。
アシスタントで入っているネーム会で先生さん、駄目出しされまくってて可哀想だけど笑っちゃった。
でもって、うみ君と自分の武器について語り合うんだけど、それが創作論の真髄というか、心に響く金言だった。
「ダメじゃないと信じて描くしかないと思います」
それと先生ちゃんが、うみ君にLINEのIDを聞けなくて、聞いた後も初めてのメッセージが送れなくて七転八倒する非コミュならではのこじれたエピソードもピュアピュアで良い。
この距離感の掴めなさは、水あさと先生がジャンププラスにて連載開始された
阿波連さんははかれない | 少年ジャンプ+
にも通じるものがあって、どちらも楽しめるコメディ漫画になっていますね。
Twitter:水あさと(@mizuasato)さん | Twitter
pixiv:「水あさと」のプロフィール [pixiv]
HP:ミルメークオレンジ
『お前ら全員めんどくさい!(6)』 TOBI 著 感想
男性教師・クニヒコに友達感覚で接してくる女子生徒たち。眼鏡っ子の一宮カズミをはじめ、気が多いビッチな栗原リホや委員長など一見してハーレム、でもクニヒコは困惑!?というラブコメ6巻
5巻でついにカズミがクニヒコに告白!? はたしてその返事は……という強烈なヒキだったんですが、その答えは……!?
……まあ言ってしまうと振ってしまうんですが、その後のギクシャクに対して、クニヒコが誠意のある本心を打ち明けるんですね。
これでもってますます好きになってしまうカズミ。ほっと一安心して弛緩した笑顔が、これまた超絶に萌えまくるのだっ!
そして文化祭ではメガネ喫茶。ここで休む間もなくビッチな栗原が下着姿で悩殺という波状攻撃を仕掛けられるんですが、とどめの布切れをまとった疑似ウェディング姿にはドキッとしたね!
このマンガ、ページをめくるたびに女の子のいろんな表情が現れてきて、その都度驚かされるのが心地よいんです。
その結果、TOBI先生の強みを存分に活かしたラブコメに仕上がっているのが見事だなあと思った次第。
関連リンク
お前ら全員めんどくさい!
TOBI(@tobi_daidai)さん | Twitter